事業承継税制を利用する条件とは
事業承継税制は、中小企業の後継者が株式や事業用資産を承継する際に大きな効果を発揮する制度です。
しかし、この強力な優遇措置を受けるためには、各関係者がそれぞれ条件を満たしている必要があります。
本記事では、事業承継税制の概要と、利用のための条件について解説していきます。
事業承継税制とは
事業承継税制とは、中小企業における経営の円滑な承継を支援するために設けられた制度です。
この制度は、後継者が会社や個人事業の事業用資産、または株式を先代経営者から贈与または相続によって取得した場合に、本来かかるべき贈与税や相続税の納税を猶予し、最終的に一定の要件を満たすことで納税が免除されるというものです。
事業承継税制を利用することで、後継者は多額の税負担に苦しむことなく、事業の継続と発展に注力できるようになります。
個人版事業承継税制
個人版事業承継税制は、青色申告を行っている個人事業者を対象とした制度です。
後継者が、先代経営者からその事業に係る土地、建物、機械設備などの事業用資産を贈与または相続等により取得した場合に、その資産にかかる贈与税・相続税の納税が猶予・免除されます。
法人版事業承継税制
法人版事業承継税制は、非上場会社を対象とした制度です。
後継者が、先代経営者からその会社の株式を贈与または相続等により取得した場合に、その株式にかかる贈与税・相続税の納税が猶予・免除されます。
特に平成30年度税制改正で創設された特例措置は、納税猶予の対象となる株式の制限が撤廃され、納税猶予割合も80%から100%に引き上げられるなど、非常に手厚い優遇内容となっています。
事業承継税制を利用する条件とは
事業承継税制を利用するためには、法人と後継者のそれぞれがいくつかの要件を満たす必要があります。
それぞれ確認していきましょう。
法人が事業承継税制を利用する時の条件
法人版事業承継税制を適用する場合、会社の要件は主に以下の通りです。
- 中小企業であること
- 非上場会社であること
- 資産管理会社でないこと
- 風俗営業会社でないこと
- 従業員が1人以上いること
後継者の要件
事業承継税制の適用を受ける後継者は以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 株式の取得後、速やかにその会社の代表権のある役員に就任する
- 贈与によって株式を取得する場合は、取得時に既に会社の役員に就任していること
- 相続によって株式を取得する場合は、相続発生後も引き続き会社の役員であること
- 株式取得後において、後継者とその親族などの同族関係者全体が、同族内の他の者の中で最も多くの議決権数を保有している
- 納税猶予の継続期間中、取得した株式等を保有し続け、事業を継続する
事業承継税制を利用する上での注意点
事業承継税制を利用する際には、適用要件以外にも以下の点に注意する必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
都道府県から認定を受ける必要がある
事業承継税制の適用を受けるためには、制度の適用要件を満たすだけでなく、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく、都道府県知事の認定を事前に受けている必要があります。
認定を受けずに申告しても、この税制は適用できません。
認定申請は煩雑であり、認定後も毎年、都道府県に報告書を提出する義務があります。
特例措置は期間限定
法人版事業承継税制の特例措置は、非常に手厚い優遇内容となっていますが、一定の期限が設けられています。
特例措置を利用するには、2018年4月1日から2026年3月31日の間に特例承継計画を各都道府県に提出する必要があります。
この期間内に提出を行った事業者は、2018年1月1日から2027年12月31日の間に行われた贈与・相続に対してのみ、特例を適用することができます。
特例措置の期間が終了した後、新たに事業承継を行う場合は、猶予割合が80%などに制限される一般措置に戻るため、早期の準備と手続きが推奨されます。
まとめ
事業承継税制は、中小企業の株式や事業用資産にかかる相続税・贈与税の納税を猶予し、最終的に要件を満たすことで免除する制度です。
ただし、事業承継税制を利用するためには、法人、後継者がそれぞれ厳格な要件を満たし、さらに都道府県の認定を受けるという行政手続きが必要となります。
特に法人版事業承継税制における特例措置は期限が限定されているため、事業承継を検討している場合は、早期の行動が重要となります。
事業承継税制の利用をお考えの際は、ぜひ1度、専門の税理士にご相談ください。
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