配偶者は小規模宅地等の特例を利用すべき?メリット・デメリットを解説
被相続人の配偶者が小規模宅地等の特例を利用することで、相続税の節税効果が期待できます。
しかし、状況によってはかえって不利益を被る可能性もあるため、注意が必要です。
今回は、配偶者が小規模宅地等の特例を利用するメリット・デメリットや、注意点などを解説します。
小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住または事業に使用していた土地について、一定の面積までの評価額を減額できる制度です。
配偶者以外の親族が土地を相続する場合、小規模宅地等の特例を利用するには居住継続要件や保有継続要件を満たす必要があります。
しかし、配偶者であれば無条件で適用できます。
また、被相続人が生前に老人ホームに入所していた場合でも、以下の要件を満たせば自宅が特例の対象に含まれます。
- 被相続人が要介護認定を受けていること
- 被相続人が入居した施設が法令で定められた適格施設であること
- 自宅を他人に貸し付けていないこと
特例を適用するためには、原則として相続開始を知った日の翌日から原則10か月以内に相続税の申告をすることが必須です。
配偶者が小規模宅地等の特例を利用するメリット
小規模宅地等の特例を利用することで、配偶者は相続税の負担を軽減できます。
理由として、特例の適用によって宅地の評価額が圧縮され、相続税の課税対象となる財産の総額が減少するためです。
相続税は累進課税であるため、適用される税率を下げられる可能性もあります。
節税効果が期待できることは、配偶者が小規模宅地等の特例を利用するメリットです。
また、被相続人の配偶者には適用条件が課されないため、配偶者が小規模宅地等の特例を利用すれば、自宅の活用方法についてより柔軟な選択が可能です。
自宅の売却や引っ越しを検討しているのであれば、配偶者が小規模宅地等の特例を利用することが有力な選択肢となります。
配偶者が小規模宅地等の特例を利用するデメリット
配偶者が小規模宅地等の特例を利用することで、デメリットが生じる可能性があります。
たとえば、配偶者が亡くなった場合に生じる二次相続での税負担が増加するリスクがあることです。
配偶者が相続した宅地は二次相続の際にも相続税の課税対象となります。
二次相続において子どもが小規模宅地等の特例を利用するためには、一定の要件を満たさなければなりません。
さらに、配偶者が亡くなり法定相続人の数が減少した分、相続税の基礎控除額も少なくなります。
そのため、トータルで負担する納税額はかえって増加するリスクがあります。
また、小規模宅地等の特例の適用要件を満たしている子どもがおり、かつ配偶者の相続する遺産額が配偶者控除の枠内に収まっている場合に配偶者が小規模宅地等の特例を利用すると、子どもが特例を利用するときと比較して節税効果が低下します。
これは、節税の観点からみると配偶者が小規模宅地等の特例を利用するデメリットとなります。
配偶者控除とは、配偶者が取得した遺産が1億6000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで非課税になる制度のことをいいます。
宅地を含めて配偶者の相続する遺産額が配偶者控除の枠内に収まっている場合、小規模宅地等の特例による評価額の圧縮効果は実質的に発生しません。
小規模宅地等の特例適用時の注意点
小規模宅地等の特例を適用させるためには、次のことに注意してください。
相続税の申告
小規模宅地等の特例を適用する際には、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税申告をしなければなりません。
小規模宅地等の特例を利用することによって相続税を納める必要がなくなる場合であっても、申告は必要であることに注意してください。
相続税申告期限までの遺産分割の確定
相続税の申告期限までに遺産分割が確定していることは、小規模宅地等の特例を適用するための前提条件です。
申告期限までに遺産分割が決まっていなければ、暫定的に小規模宅地等の特例を適用しない評価額で納税する必要があります。
差額分については、申告期限から3年以内に分割がまとまれば更正の請求ができます。
しかし、納税の際には一時的に特例未適用の場合の金額を用意しなければならなくなるため、注意が必要です。
まとめ
今回は、配偶者が小規模宅地等の特例を利用するメリット・デメリットや、注意点について解説しました。
配偶者が小規模宅地等の特例を利用するかどうかを判断する際には、配偶者控除との兼ね合いや、二次相続への影響などを考慮することが重要となります。
相続税の節税効果を最大化させたいとお考えの方は、税理士に相談することを検討してください。
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