従業員承継とは

従業員を後継者として行う事業承継を従業員承継といいます。

従業員承継には次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット
○会社の業務などに精通しているため社内外からの理解を得やすい
○会社の雰囲気・社風を引き継げる
○複数の候補の中から後継者を選ぶことができる

会社を経営するにあたって、会社のことをよく理解しているかどうかは当然重要なことです。
会社の業務や人間関係などだけでなく、競合他社の状況も理解している人物が後継者となることで、社内外からの理解を得やすくなります。

また親族承継だけを検討していると、親族の中から後継者を選ばなければならず、「経営者としての資質があるかどうか」という点が軽視されてしまうこともあります。
従業員承継ではそうした経営者としての能力などをみて、選出するといった方法も可能なのです。

デメリット
○後継者が株式を買い取る資金を用意できない
○金融機関からの個人保証の問題
○相続トラブルを誘因する可能性がある

以上のように、主に金銭面でのデメリットが考えられます。
後継者となるには株式を買い取る必要がありますが、その資金を確保することが難しく、承継ができなかったというケースもあります。
これについては役員報酬を増額して、株式評価額を下げるなどといった対策をとることで、ある程度解消可能です。

また金融機関から融資を受ける際に個人保証を求められることが多くなっていますが、後継者の方がこれを嫌う場合があるため、この点についても話し合う必要があります。

相続トラブルについては後継者の方に株式が集中せず、経営者の立場が安定しない、いわば雇われ経営者のようになってしまうことが懸念されます。
相続を考える際には、なるべく後継者の方に株式が集中する方法をとることや議決権制限株式を発行するなどといった対応が必要となることもあります。

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